STORY

kiboriのものがたり

kiboriの魅力を探るため、kiboriブローチをつくる芦野和恵さんに会いに、山形市仏壇のおおつきさんにお邪魔しました。MARUTAでも当初から、取り扱いを決めていたkiboriブローチは、無地の木目を生かした、愛らしいモチーフが特徴です。そのブローチにはどのような想いが込められているのでしょうか。

最初に紹介して頂いたのは、伝統工芸品に指定された山形仏壇。金箔が貼られた豪華な仏壇のイメージですが、よく見るとこちらの欄間はkiboriブローチのように白木が用いられています。聞いたところ、昭和40年台にプラスチック製の仏壇が市場に広まった頃に、手彫りの彫刻であることを示す意味で「白木納」という白木のまま完成品として納められる様式ができたとのこと。手仕事への愛着は、今も昔も変わらないようです。

2階の工房内を進むと、塗装前の仏壇彫刻を見つけました。これらは、注文に合わせて芦野さんがすべて一点物で制作するそうです。中には鳥やリス、ぶどうなど、神仏彫刻とは思えないようなモチーフがあり驚きました。意外にも、全国の彫刻には様々なモチーフがあるそう。図録を見たり、現地を訪れたりと、彫刻師としての学びを続けているそうです。次の新作もたのしみです。

お話を聞きながら、ブローチの制作を実演していただきました。元々、考古学に興味を持ち、美術品の修復を学ぶために美大に進んだそうです。現在は、女性彫刻師として、その歴史への造詣の深さが、kiboriブローチの存在感を生むのでしょうか。

「こんな感じでどうでしょう?」と見せてくれたブローチ。こうしてよく見ると、一つひとつ違う木目や、色の濃淡、彫刻刀の跡が、手仕事ならではの温かみを感じます。

山形県内販売会の実演等では、本人がお店に立つこともあるそうです。以下、kiboriのサイトも是非、御覧ください。

【取材協力】
芦野和恵 ashino kazue
〒990-2453
山形県山形市若宮2-2-28(仏壇のおおつき内)
Tel&Fax. 023-646-6360
HP. https://ashinokazue.jimdofree.com
Mail. [email protected]

取材・文 高橋 勇貴 
写真 スタジオ二十二 須貝優美